大型二枚目君モデル機
1/30スケールモデル製作記
Part 3
初期投入コンベヤ
オレンジ色のこのコンベヤは、1999年の大阪環境展には製作が間に合わず、未製作のままでした。
今回、この大型二枚目君モデル機の模型を作り直すにあたり、システム全体を組み上げる為に新たに製作する事にしました。
しかしながら、現在実機では、その後東京の環境展出品用に新作した密閉式二枚目君に交換されていて、当初のコンベヤは、別のコンベヤの循環ラインに転用されています。
現状のレイアウトとは異なってしまうのですが、実機に取付けられている銘板ではこのコンベヤのスペックを謳っている事もあって、計画当初の初期投入コンベヤを製作する事にしました。
このコンベヤは、非常に性能が良くて、こぼれも少なく、その後の二枚目君コンベヤの開発には色々ヒントを得る事に貢献してくれたコンベヤです。
初期投入コンベヤ、トラス構造の複雑な形状で、見た目はとてもかっこいいのですが、模型を製作するのはとんでもなく大変でした。
なにしろ、全てトラス構造で、しかも、今まで製作した二枚目君、巡回コンベヤよりも圧倒的に小さい。
ベルト幅は600mm(模型で20mm幅)で大型二枚目君モデル機の半分。使用鋼材も小さかった為、その製作には苦労しました。
まず、側面図を基にフレーム材の外形に合わせて1mmのプラ板を切り出します。
そして、チャンネル材、アングル材の厚み分を0.5mmプラ板を切り出して鋼材の断面形状を作ります。
0.5mmプラ板の幅は1mm〜1.5mmで、これの切り出しと貼り付けはとても根気の要る作業でした。
両側面対称にフレーム材が出来上がると、極小の横渡し材の取り付けです。
トラス材となるアングルはケント紙を加工し、アングル状に曲げ、取付けてゆきます。
これだけの作業がほぼ24時間で完成したのには自分でも驚きました。
ローラスタンドも無く、フレームだけの出来上がった姿は、色こそ違えどまるでポケモンのグラードン。
ポケモンフリークの娘に「グラードン!!」と言いながら見せると「うわぁ似てる!!」と大受けでした。
真っ白なグラードン?
フレームが組み上がると、下地処理、塗装です。
今回、オレンジ色に塗装すると言う事でホワイトサーフェーサーを使用したのですが、意外にモッタリしてしまってうまく行きませんでした。
グレーサーフェーサーに下地ホワイトの方が良かった様です。
どうも、僕はタミヤのホワイトサーフェーサーとは相性悪いみたい。
塗装色は黄橙色(日本軍機の味方識別色)です。
完成した初期投入コンベヤ
テール部は地下ピット内なのですが、中を見せたくて地下ピットは一部切り欠きました
初期投入コンベヤ用のギヤードモータは、他の機器のモータが東芝製だったので、同じ東芝製と思い込んでいました。
そこで、CADで東芝製ギヤードモータの図面を元にデータを作ってMODALAで切削したのですが、一度工場に行って実機を見たら
「あれっ?? 違う!!」
なんと三菱製でした。
困った事に、三菱製のギヤードモータは大型二枚目君モデル機製作直後にモデルチェンジしていて、Web上のカタログでも資料がない。
そんな事もあって、東芝製でごまかそうかなと思っていたのですが、やっぱり我慢出来ず、写真を元にデータを作る事にしました。
この当時の三菱製のギヤードモータは角張っていて、独特の形状なのですが、大きさの関係で全て復元するのは無理なので、若干省略はしています。
でも出来上がりは満足すべき物でした。
ボツになった東芝製モータのミニチュア と 完成品
架台
製作物の中でも大物となる架台は、1階部分の脚を全て撤去し、全てのブレスを撤去する事から始めました。
元々は、この架台製作から始まったこの模型ですが、製作図と実機では床の貼り方が異なっており、図面通りに製作しては隙間だらけとなります。
完成した各パーツを何度も仮組みしてみて床の部分がおかしくならない様にチェックを繰り返しました。
4階は二枚目君ヘッド部のシュート、ダストシュート本体との隙間が埋められており、3階は二枚目君シュート周りの床が増設されています。
2階は制御盤周りの床が増設されているので、可能な限り写真を元に確認する様にしました。
また、架台は最上階を除いて銀塗装なのですが、一時眩しいので各階の床面を全てライトグリーンにする計画があり、模型では床面のみ全てライトグリーンで塗装していました。
しかし、計画のみで最上階以外は全て銀塗装になったので、今回塗り直す事としました。
ブレスについては、先に書きましたが、アングル材はケント紙の曲げ材とし、リブ材はプラ板です。
そして、架台の1面を残してブレスを取り付けました。
全ての面にブレスを取り付けてしまうと塗装も部品組み付けも難しくなる為ですが、これでも後の部品の組み付けには苦労しました。
改造中のコンベヤ架台
ブレスを復旧したコンベヤ架台
コンベヤベルト
大型二枚目君モデル機のスケールモデルで、最も困っていたのが、ベルトの再現でした。
さすがに、ゴムでベルトを作る訳にも行かず、また、複雑な形状のフランジ(波桟)を再現する方法もありません。
その為、形状のみの再現として、ベルトはケント紙製、フランジは東急ハンズ三宮店で見つけた黒いダンボールを利用する事にしました。
このダンボール、表面に波加工がされていて、裏面は厚紙で裏打ちされています。
従って、リターン側等、ベルトが側面からしか見えない部分については幅切りしたダンボールを貼り付ければ問題ありません。
しかしながら流石に、ベルトの有効幅内が覗けるキャリア側や、変角部ではフランジの形状も変化しますので裏打ちされている厚紙を剥がして使用しました。
以外にこの方法は有効で、思っていたよりもそれらしくなりました。
紙でベルトを作った事で、ひとつ問題が起きました。
というのも、湿気でベルトが撓む事です。流石に作りつけてしまった後で気づいた為、修正出来ず、可能な限り、ローラ等に接着しています。
それでも主搬送ベルトのリターン側のみはあまりにひどい為、一度取り外してプラ板で作り直す事にしました。
艦船モデルの製作でケント紙の使用方法を参考にしたのですが、湿気による撓みは発生しないのでしょうか?
ダストシュート
大型二枚目君主搬送ベルトのリターン側にはコンベヤからと架台各階からの落鉱物を落とす為のダストシュートが付いています。
これは、完成当初、落鉱が多くその対策として取り付けたもので、架台各階の掃除には役立っている物の、今では余り必要とはされていません。
各階に取り付けるシュートはプラ板の箱組みで作成。パイプ部は旋盤で手元にあったレジンの各棒から削り出しました。
その為に以前から購入しようと思っていたマイクロレース用の4つ爪インデペンデントチャックを購入しました。
このダストシュート、受けの一輪車の上部で曲がっています。その為この部分のみデータを作ってMODALAで削り出しました。
問題はこのダストシュートの取り付け場所が、二枚目君の主搬送ベルトのフランジの中に収まる事で、しかも、架台の各階にシュートを取り付けなければならず、再三再四の仮組みの結果、何とか無事に組み付ける事が出来ました。
フェンス
この大型二枚目君モデル機のテール部周囲には安全対策の為のフェンスが取り付けてあります。
このフェンス、取り付けてしまうと、中の様子がほとんど見えなくなってしまうので、取り付けるべきかどうかについては、随分悩みました。
それでも、後の事は考えず、とりあえず6月24日に一日かけて0.5mmプラ板で枠を切り出してしまいました。
はてさて、エキスパンドメタルをどうするか?
一番良いのは金網だけど、スケール通りに作って、目が小さくて中が見えなくなるのは避けたい。
いろいろ考えた挙げ句、家の中には適当な物が見当たらず、何か無いかなと会社帰りに梅田ロフトに寄ってみました。
しばらく店内をうろついて探した結果、洗濯用のネットになんとか使えそうなサイズの物を見つけ、これでどうかなと試しに買って帰りました。
枠に貼り付けてみると、ややオーバースケールながらそれらしい雰囲気です。
ネットの取り付けにはプラスチック接着剤を使いましたが、2日後に枠が歪んでしまった為、瞬間接着剤で補強しました。
ちょっと、頼りないのですが、見た目なかなか雰囲気も良く満足しています。
洗濯ネットで作ったフェンス
(枠がネットの張力でたわんでしまったのが反省点)
U字溝
大型二枚目君モデル機は各種実験を行う事を前提にしていた為、コンベヤベースの周囲には、コンベヤ水洗の為のU字溝が設けてあります。
U字溝は、サンプルモデルをMODALAで切削し、それをシリコンゴムで型取りし、レジンでキャスティングする事にしました。
どうせなら、全数MODALAで作りたいところだったのですが、切削に非常に時間が掛かる事が解かったので、やむなくキャスティングとしています。
後で考えると、幾つか連なった物として作って、それを並べた方が良かったなと反省。
ひとつひとつ、U字溝を並べて接着するのはかなりな手間を要しました。
U字溝(実物そっくりの方法で作ったが取り付けが大変でした)