大型二枚目君モデル機
1/30スケールモデル製作記

Part 1

コンベアフレームは、ほぼ以前製作したものをそのまま流用しています。
1mm厚のプラ板からスケール原寸の側面図に合わせて材料を切り出し、それに0.5mm厚のプラ板のチャンネルの断面を貼り付けてそれらしく作ってあります。
大型二枚目君、巡回コンベヤ、モータ架台共に基本的には同様の構造としてあります。
ただし、計画当初からは改良された箇所があり、その箇所は改造後の仕様としました。
環境展の時には製作時間の都合でできなかったプーリ類の取り付けブラケットも実機同様に取り付け、下地、上塗りしてあります。
また、歩廊を新作し、床面にはチェッカーパターンをCADデータで作り、アルプスの熱転写プリンターでデカールを作って貼り付けてあります。


ヘッドフレームの改造(上部変角部変更に伴う改造)


コンベヤフレーム関連の追加部品工作 押えベルト用ヘッドカバー

  
二枚目君のテールシュート と 巡回コンベヤのテールシュート

ホッパー
環境展に出展した時に意外に好評だったのが、このホッパーでした。
このホッパー、全体を0.5mmのプラ板で箱組みし、各補強材を取り付けた構造で、ホッパー内は2層に分かれており、片方は砂利、片方には石炭が入っています。
いずれも鉄道模型用のシーナリーパウダーを使ったのですが、見た人の多くが本物みたいと言ってくれたのを思い出します。
今回、このホッパーだけは全く手を付けずに埃を払うだけで使用しました。

ホッパー車輪
このホッパー2層式の為、当然の事ながら移動式です。
そして、ホッパーの重量を支える為に合計8個の鉄輪と、それぞれに2個のプランマーブロックが取り付けられています。
当初、製作した際にはそれなりの状態で、プラ板を円盤加工して取り付けたのですが、らしくないので作り直す事にしました。
せっかくなのでMODELAを使用。CADデータを作成し、切削する事にしました。
鉄輪は両鍔付きの為、片面切削は出来ません。
データを中心で2分割し、それぞれの面を作成し、切削後貼り合わせる事にしました。
プランマーブロックもMODELAで製作しました。仕上がりには満足しています。

ホッパー架台
再製作の際、最も手ひどいダメージを負ってしまったのが、このホッパー架台でした。
クローゼットの中でバラバラの状態になり、とても復旧は無理でした。
やむなく全て作り直しとなりました。
元々作ったパーツも脚の長さが不正確で満足はしていなかったので、再製作で正確になる様、留意しています。


新装成ったホッパー架台 と ウィンチ

ウィンチ
ホッパーの移動用にホッパー架台の両端にウィンチが取り付けられています。
このウィンチはモータ一体型の物で、派手な黄橙色で塗られています。
模型ではワンポイントとして目立つので是非取り付けたい部品です。
幸い原寸ではない物の図面もあったので、プラ板の箱組みで作りました。
リールには糸を巻き付けたのですが、選択ミスでした。
合成繊維の糸だったのですが、塗装すると毛羽立ってしまい、実感を損ねてしまっています。

制御盤
架台2階には大型二枚目君システムの制御盤、操作盤があります。
制御盤はプラ板の箱組みで製作。大きなファンの為のカバーはプラ板積層で作っています。
また、前扉には各種操作ボタンが付くのですが、これはデカールを作ってそれらしく取り付けました。
この大きさながら、ちゃんと一番大きな銘板の文字が読めるのには驚きました。

操作盤と油圧モータ
制御盤の反対側にはホッパーゲート開閉用の油圧ポンプとその操作盤があります。
油圧ポンプは工場にあったプレス用の余剰品を流用した物の為、図面はありません。写真から大体の大きさを割り出して作る事にしました。
油圧ポンプに取り付けられたモータは、実機とメーカー違いが判明し、ボツになった初期投入コンベヤ用モータを流用しました。
実機では油圧ポンプ上にはもっとパイプがあちこちあるのですが、よく解からないし、余り見えない場所なので適当に省略しています。

モータ
大型二枚目君モデル機は1200mm幅のベルト(模型では40mm幅)に260mmhのフランジ(模型では9mm高さ)を取り付けた、大変大掛かりなベルトコンベヤです。
その為、その駆動には主搬送ベルト用に55Kw、押えベルト用に45Kw、巡回コンベヤ用に37Kwという、うちの会社では、他にまずお目に掛かれない様な大型のギヤードモータが付いています。
この模型を作り始めた当初には、プラ板の積層でそれらしい形を作ろうと思っていたのですが、Roland MODALA MDX-20を手に入れた事から、何とか出来ないだろうかと考えました。
いろいろ考えた結果、CADで三次元データを作る事にして、それを切削してみようと思いました。
問題はその形状で、上面からの切削に対してモータは非常に複雑な形状の為、パーツごとに分解して切削し、それぞれのパーツを組み合わせる事にしました。
パーツは5分割。
ギヤボックス前面、ギヤボックス本体、モータ前部、モータ後部、そしてファンカバー。
CADでそれぞれのデータを作り、上面から切削しました。
ZACODA.COMで寺部氏が提唱していた両面切削法を元に、レジンによる両面切削をしてみました。
この時はかなり凝った方法で裏面も作りそれぞれの接合面がずれない様に工夫しました。
ところが、意外に誤差が大きく出てしまった事。それから、平面でも新旧のレジンが剥離しない事が解かったので、最終的には一度レジンのブロックから、底部を削り出し、その後レジンを流して固め、それを切削するという方法に落ち着きました。
この方法、とても簡単で、後にプーリ、クリーナ等の製作には大いに活用しました。
肝心のモータですが、55Kwのもののみの図面を作り、後はデータを縮小して作っています。
最も、モータ横の電源ボックスのみはCAD上で別データとしてサイズを合わせています。
コンピュータによる物づくりではこんな事が簡単に行える利点があります。

  
大きい方から 55kw、45kw、37kwの模型 背面のルーバーはデカール処理(スケール的に最適でした)

階段
架台の各階を結ぶ階段は、以前手摺無しの状態をプラ板で製作しました。
ただし、各ステップの折り曲げ加工の形状がプラ板では作り難く、出来上がりもイマイチだったので全面的に作り直す事にしました。
両側のチャンネルは前回同様プラ板を加工し、各ステップは、ケント紙を形状にカットして折り曲げ、実物同様の形状にして接着してあります。

階段、歩廊の手摺は、実物同様の構造とする事にしました。
実機では、L50X50X4アングル材のスタンションに、SGP38Aガス管の手摺、16丸棒の転落防止材、FB50X6の蹴り止めといった組み合わせです。
これを各辺2mm幅のケント紙で作ったアングルのスタンションに、2mmプラ丸棒の手摺、0.5mm真鍮線の転落防止材、2mm幅のケント紙の蹴り止めとしています。

コンベヤフレームと、モーター架台に着く歩廊の手摺は、各パーツの完成後に取り付ける方法を採りました。
主として塗り分けの不便さを解消しようと思ったのですが、これが意外に大変でした。
モータ架台、二枚目君ヘッドフレーム等は歩廊の形状が複雑で、まず、手摺のスタンションとなるケント紙のアングルを取り付け、これにφ2mmのプラ棒、φ0.5mmの真鍮線を歩廊の形状に合わせて、曲げたり、カットしての組み付けました。ところが、ケント紙のアングルは、塗装前には強度がない上に、なかなかうまく接着出来ず、ようやく着いたと思ったらふとした拍子にどこかにぶつけてしまい、簡単に折れたり、変形したり、行方不明なったりします。
何とか作り終えてから、最初から治具を工夫すればよかったかなと思いましたが、後の祭り。
おまけに、数日すると蹴り止めのケント紙が湿気で曲がってしまいました。
実物もいくらかは曲がっている物なのですが、スケールモデルではちょっとオーバースケール???
今でも失敗したなぁと感じています。
しかしながら、各フロア、歩廊に取付けられた手摺は明るいレモンイエローで目立つ為、その存在感は圧巻で、実機そっくりの実感を高めています。
3階から4階に向かう階段には頭上注意の警告が実機同様に取り付けてあります。


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