ライトフライト
2010年12月12日完成
ライトフライト・バブルヘッド・フィギュア
全高26p
2009年9月26日に、大阪のシアターブラバに草刈民代さん、安田顕さん出演の『宮城野』を見に行きました。
実に素晴らしい舞台で、出演者は二人だけ。
広い空間にも関わらず舞台を独特の存在観で包んでしまった草刈民代さんの凛とした艶やかな立ち振る舞い、それと普段のおもろい兄ちゃんぶりとは全く異なる俳優 安田顕さんの男らしい迫真の演技を見る事が出来ました。
劇場のロビーには、様々な公演のポスターが沢山飾ってあり、その中には次に見に行く予定の戸次重幸さんの『ライトフライト』のポスターがありました。
既にフライヤーでは見ており、判っていたつもりだったのですが、改めてポスターをまじまじと見て、思わず噴き出してしまいました。
そのポスター、出演者全員がエアラインの制服なのですが、いずれも頭と手足がCG処理でデフォルメされていて、しかも、皆さん味のある面白い顔をしています。
特に、シゲちゃん。
はまりましたねぇ。
実に面白い。
ふと、
「これ、フィギュアにしたら面白いんじゃないか?」
そんな考えが浮かびました。
頭大きいし、触るとフラフラ頭が揺れるバブルヘッド人形にしたら・・・。
劇場を出た後、『宮城野』の妖艶な舞台の静かな余韻とは裏腹に、頭の片隅にこのバカげた妄想がずっとよぎっていました。
既にご承知の通り、『ライトフライト』で彼はブラックジャックの様な扮装で出演するので、ポスターの衣装はまったく関係ないのですが、この顔、この格好!
たまんない!
メッチャ、面白い。
ぜひぜひ手にしたい・・・
こりゃ、作るしかありません。
時間もないのに、思い切って製作する事にしました。
実際、11月14日には舞台も見に行くし、聞けば11月が彼の誕生月だし、プレゼントに面白いかもなんて考えて…
既に以前『KILLER-Z』の製作で、戸次さんの3Dデータは作ってあるので、顔などはそれに手を入れれば、製作時間はそうかからない筈。
年内のCDJ2008フィギュアの勢ぞろいは厳しくなるけど、ちょっと煮詰まって来ているし、気分転換にちょうど良い。
とにかく、
面白そうなのでやってみたい・・・。
他の出演者の方々も、とっても魅力的なのですが、バブルヘッド人形になって、つつかれたり、小突かれたり、叩かれたり、ひどい目にあうのはかわいそうですし、ここはやはり作者に代表で犠牲になってもらいましょう。
今回はスケール無視なので、どこまでデフォルメ出来るかが決め手です。
早速、家に帰り、Poserでデータを開き、頭部、手足を拡大。
そして、顔に表情をつけて見ると・・・
「間抜けだ!」
腹を抱えて、大笑いさせていただきました。
この顔、面白すぎます。
どうやら期待通りの出来になりそうです。
鼻や、口元は修正の必要がありそうですが、今回は顔の大きさも1/12スケールに比べ、2倍以上はあるのでそれも容易でしょう。
さて、データも完成し、いつもの様に、MODELAで切削しようとして、最初の難問にぶつかりました。
デカイ!
とにかく頭がでかくて、一発では掘り出せません。
仕方なく、データを前部(顔)、後頭部、側頭部に3分割して掘り出す事にしました。
顔の表情の出来上がりは、ほぼ想定通り。
表情がとても良い!
切削中
ところが後頭部までは順調に切削出来たのに、側頭部の切削時から、急に機械の調子がおかしくなりました。
MODELAが、切削途中でエラーを頻発し、動かなくなるのです。
いろいろ調べたのですが、さっぱり原因が判りません。
このままでは製作続行不可能です。
製作時間も無いし、間に合わない・・・
またまた、残念な結果が待ち受けているのか・・・?
悩んだ結果、機械本体ではなく部品の方かなと当たりをつけ、「ひょっとしてスピンドルモータの不調?」と思って、メーカーのサイトを調べると、
そこには・・・
「スピンドルモータは連続使用の場合、700時間で交換してください。」とあります。
既に何年も同じモータを使っていたので、逆に今更ながらメーカー指定の耐用時間の短さにビックリ。
700時間なんて毎日24時間切削したら、わずか1ヶ月しか持たない・・・。
慌てて新しいスピンドルモータを購入して使ってみると、何事も無かったの様にスムーズに切削をはじめました。
しかも、モータ音が今までに比べ、ビックリするほど静かです。
こちらの不注意とはいえ、維持管理の大切さを痛感した次第。
さて、この人形、頭部にスプリングを入れて、バブルヘッド人形にしてみたいと考えました。
その為には、中を中空にする必要があり、後でレジンのブロックを削り出すのは大変なので、あらかじめ切削の時点から、中空になる様にデータを工夫する事にしました。
切削データを完成時の大きさのデータと、それを70%に縮小したデータを準備します。
そして、まずレジンブロックを切削し、バスタブ状のベースを作ります。
次いでその中にレジンを注いで70%に縮小した切削データを彫り、更にその後、もう一度レジンを流し込み、完成データを切削します。
これで切削完了後、中の縮小したデータ部分を除去すれば、中を繰り抜く手間が節約出来る手筈です。
(実際、これでは全然不足でした。90%でも良かったくらい。)
切削した頭部にポリパテを盛り付けて
修正していきます
また、側頭部は左右2分割し、耳は別切削しました。
機械の具合が悪くて片側しかうまくいかなかったのですが、切削した耳のパーツがパチリとハマッたのは、ちょっと感動的ですらありました。
完成した頭部の各パーツを仮組みして、ポリパテで段差を埋め、表情の修正を行います。
写真を基に修整したのですが、出来上がりはご覧の通り。
完成した頭部
こんな形に分割されます。(軽量化後)
女房、娘に見せたところ、
「ぷっ!はははっ」
「ふっ!ふふふっ」
こりゃ、手ごたえ充分です。
頭部に続いて、下半身、上半身を製作する事にしました。
エアラインのパイロットの制服って、それらしいデータ ネット上に有ったよなと思って、調べ始めたのですが、意外に無いものです。
シングルボタンの空軍将校服で近いものは見つけたのですが、ポスターの彼らが身に着けているのはダブルのスーツ。
何とか近いものは無いかなと探すと、ようやくダブルのスーツが見つかりました。
でもそれは、何とギャングのスーツなのでした・・・(汗!)
胸元がイメージと少し異なりますが、修正は可能だと考えました。
とにかく時間も無いので、それを基にして手を入れる事にしました。
ボディの製作
制帽も使えそうなデータが無く、ドイツ軍の将校服を購入。
この制帽なら何とかなりそうですが、問題は大きさ。
完成サイズは直径10cm近くにもなり、切削するには時間が掛かり過ぎる。
さてどうしたものか?
切削しようにも、一度にはとても無理です。
製作時間も限られているので、結局ボール紙とポリパテで手作りする事にしました。
まず帽子全体と、帽子の胴の大きさに厚紙を切り出します。
切削し終わった頭部を仮組みしたものに、帽子の胴の部分にあたる厚紙を巻き、次にポリパテを盛り付けて全体の形を整えます。
全体の形が整ったら、シール台紙の上にポリパテを盛って、つばの部分を作ります。
後は、納得行くまでポリパテを盛っては削りの繰り返しです。
帽子の製作1 台紙はティッシュ箱!
帽子の製作2 バランスが悪いのでやり直し
帽子の製作3 頭頂部の作り直し
帽子の製作4 パテを盛っては削り
上下の制服部分も切削完了したので、組み合わせてみると、なかなか良い感じ。
しかし、頭部のパーツが分厚く重く、準備したバネでは全くバブルヘッドになりそうもありません。
そこで頭部と帽子は一度分解して徹底的に軽量化を図る事にしました。
完成したパーツ
さて、ここで大事件が発生!
楽しみにしていた11月14日の『ライトフライト』公演。
当日、このバブルヘッドの人形をプレゼントとして持ち込む手筈だったのですが・・・
何の因果か、11月12日から17日まで出張を命じられてしまいました。
見に行けない!
おいおい、
楽しみにしていたステージなのに・・・
見たいステージだったのに・・・
見られないなんて・・・。
はぁ 〜〜〜〜
残念!!
そうなると、更に製作日数も限られてきます。
更に追い討ちを掛ける様に、上司から、突然、携帯ストラップ用のフィギュアヘッドが出来ないかなぁ?という依頼が・・・
「50個、11月9日までに欲しいんだけど・・・。」
おいおい・・・
日頃世話になっているから断れないし、材料費くらいは出してくれるとの事だし・・・。
間に合うかなぁ?
ままよ。やってみるだけさ。
結局、『ライトフライト』の方は、僕の代わりに娘が見に行く事になり、一件落着。
彼女は、アニメ『トムとジェリー』の大ファンだし、ドタバタコメディが大好き!
きっと、『ライトフライト』でのフライトを楽しんでくれる事でしょう。
気を取り直して製作再開。
(気持ちの切り替えに随分時間が掛かってしまった・・・)
頭部は3分割で切削したので、仮止めを外して、それぞれの内部を徹底的にリューターで削り込みました。
各々、厚みが3mm程度になるまで削り込んでいます。
ただ、このままでは接着時の強度が不足する事が考えられたので、プラモデルの様に四隅にダボ穴を作りました。
帽子の形はなかなか納得いくものにならなくて、再三作り直しました。
特に帽子の高さと、頂部の大きさのバランスがとれず、5回ほど作っては削り、作っては削りして、ようやく満足出来る形になりました。
頭部完成
髪の毛は、定番のポリパテを盛っての削り出しです。
今回はボリュームもあり、リューターでの彫刻も大変です。
ひと通り、髪の毛を盛り付けた後、耳の部分をどうするかで悩みました。
写真を見ると、髪の毛は伸ばし気味で耳の上半分は隠れています。
あっさり耳の周りの髪の毛を省略して耳を出す事も考えたのですが、結局、写真通りに耳の上にポリパテを盛り付けて髪の毛を削り出す事にして、3分割の頭部を組み立てた後、髪付きの耳を取り付けるという方法に落ち着きました。
髪の毛が付くと、表情がぐっと豊かになりました。
特に耳に付けた髪の毛が効果的で、耳の横に隙間が出来てリアルに表現出来たと感じています。
帽子は頭頂部を作り直し、更にサイドの角度の変わる箇所から切り離します。
これは、シリコン型を作る際に少しでも高さを抑えておきたいのと、逆テーパーでは抜き難いのでそれを避ける為の処理です。
さて、この人形をバブルヘッドにするには、頭部にスプリングを仕込む必要があります。
3分割した頭部の中央は左右それぞれを別々に切削したのですが、強度を持たせる為と、型抜きの都合上、頭頂部を一体化。
更に薄く加工した分、裾の部分の強度が保てないので後頭部の裾の部分を切り離して中央部側に接着し一体化しました。
これなら型抜き時の変形も防げますし、強度的にも充分でしょう。
頭頂部の一部をスプリングを入れる為、スプリングの径に合わせて穴を開け、更に上から蓋をしてスプリングが抜け落ちない様に加工します。
今回は、時間も無いのにバブルヘッドフィギュアにした事で、内部を中空にしなければならなかったり、大きな頭の頑丈な組立方法を考えたりと、単なるディスプレイモデルとは異なる工夫が必要でした。
その為、加工方法を考えるのにひと苦労しました。
まあ、今までと異なるものを作るのは新鮮で、とても楽しめましたが…。
さて、全体を仮組みし直して見ると、なかなか良い感じです。
次に帽子のディテールアップを施します。
あご紐は、厚紙に筋を入れて切り出し、帽子に貼り付けました。
つばの縁には、細切りしたマスキングテープを貼り付け、縁布風にして有ります。
さてエンブレムはどうするか?
これは当初、先に入手したドイツ軍の将校服の帽子のエンブレムのデータのみを切り出して、それをMODELAで切削する予定でした。
ところが、つばの上に葉の模様を発見してしまい、そうもいかない事になりました。
またエンブレムのデータを良く調べると、とても似ても似つかぬものだったので、「こりゃ駄目だわ。」とすっかり意気消沈してしまいました。
東急ハンズか、ユザワヤあたりに行って、それらしい飾りを探して来て、それを付けようかなと真剣に悩みました。
すると、それを見ていた女房が、
「刺繍したら?」
とあっさり。
「へっ!? 出来るの?」
「う〜ん。多分!」
「じゃ、お願い。作ってみて!」
彼女はおもむろに刺繍糸と布を取り出し、僕が紙に写し取った模様を布に写してさっそく刺繍を始めました。
半日近く彼女が刺繍糸で布と格闘したその結果は?
エンブレムの製作1 下書きをして、刺繍
素晴らしい出来です。
僕の想像以上。
質感たっぷり。
ありがとう。
すごい技術だね!
フィギュアの帽子がぐっと引き立ちました。
完成した刺繍の終わった布を出来る限りピンと張ったままで、瞬間接着剤を表面に垂らして、刺繍糸を固めます。
次にそれを丁寧に切り出して別に作っておいた、エンブレム用のベースに貼り付け、帽子に取り付けるとこの通り。
葉の模様の方も丁寧にカッターで切り出して帽子のツバに貼り付けました。
おかげで、単純に彫刻するよりも遥かに素晴らしい仕上がりになりました。
エンブレムの製作2 刺繍を丁寧に切り抜いて接着
手の切削には、ほぼ一週間掛かりました。
まず、レジンブロックにφ3mmのエンドミルでバスタブ状のベースを切削し、そこにレジンを流し込み、次に手の平を下にしてデータを切削します。
これはφ3mmのスクエアエンドミルで荒削り、仕上げまで切削した後、指の間など要所をφ1mmのボールエンドミルで荒削り、仕上げを行います。
再びレジンを流し込み、手の甲側を上にしてまたφ3mmスクエアエンドミルとφ1mmのボールエンドミルで切削します。
うまく行けば、爪や、手のしわなどもリアルに切削出来るのです。
問題は取り外しの際、無理な力を加えると、レジンのパーツが割れてしまう事でしょう。
細心の注意を払って、まずはベースからパーツを取り外し、その後、不要部分を取り除く様にします。
ただ、せっかく出来上がった手のパーツですが、φ3mmのエンドミルで荒削り中に若干基準位置のずれを起こしたらしく、一部が欠けてしまいました。
しかし、彫り直す時間も無いので、ポリパテで修正する事に・・・。
とにかく時間が無いので、こうした小さな失敗はこたえます。
何とか、手の修正が終わり、全体をバフ掛けし、形を整えます。
手の製作 MODELAで切削したものを修正します。
手の完成
胴体にもスプリングを取り付ける為の改造を施します。
首の部分を彫り込んで、ここに金属の丸棒を卓上旋盤で加工したものを入れて、スプリングを入れる計画です。
腕も切削しようと考えたのですが、時間が無いので、芯材を入れて、それにポリパテを盛って作る事にしました。
MODELAは本当に簡便に正確な形状を作ってくれるのですが、切削するのに時間が掛かり過ぎます。
なにしろ、作っているのはこの模型だけではありませんから・・・。
腕の芯材はφ3mmのプラ丸棒を使用し、ライターで炙って大体の形を作ります。
その上からポリパテを盛り付けて、固まったら削り出してゆきます。
芯材は少し長さを延長しておき、手の側に穴を開け、差し込む様にしました。
腕の製作
ようやく出来上がったパーツ全てを組み立ててみると、
「面白い!」
女房、娘に見せると大爆笑。
娘いわく、「これで笑わないの無理!」
上々の評判です。
顔も、手の表情も、満足な出来。
各パーツに下地処理し、上着にはボタン、ポケットなどディテールアップを施します。
袖のモールも刺繍糸をプラ用接着剤で固めて巻きつけました。
これも良い感じです。
(後でよくよく写真を見たら3本筋ではなく、4本筋でした・・・。汗!)
仮組み
いよいよ靴なのですが、結局時間の関係でこれも切削せず手作りする事にしました。
まず靴底の形を1mm厚のプラ板を切り抜いて作ります。
片側の靴底の形を大まかに整え、それを両面テープでもう一枚のプラ板に貼り合わせ、2枚同時に成型します。
次に、両足共に踵は上がっているので、プラ板を折り曲げ、靴底の形を修正しておいて、そこにポリパテを盛り付けます。
ポリパテが硬化する際に出す熱で曲げたプラ板の形が戻ってしまったので、ポリパテが完全硬化する前に、一度プラ板から外し、もう一度好みの角度に変形させ、ポリパテの塊を瞬間接着剤でプラ板に強引に接着します。
そして角度を直す為に割ったポリパテの隙間にもポリパテを充填し、更に盛り付けて成型してゆきます。
踵の靴底は厚くなっているので1mm厚のプラ板を3枚重ねた積層品を削り出しました。
あとは、ポリパテを盛っては削りのいつもの作戦です。
ここでまたまたミス。
何故か靴底を左右同じ向きにして製作していました。
踵のピースを取り付ける段階になって発覚。
プラ板を剥がしてやり直しです。
靴の製作 バランスを見ながら修正
11月9日までに作らなければならない携帯ストラップフィギュアと平行して作業を進めているので、やる事がてんこ盛り。
おまけに材料で手に入らなかった物もあり、その買物もしなければならない。
11月6日(金)の時点で、ライトフライト・バブルヘッドフィギュアは脚、靴の原型製作が残るのみの状態になっていました。
携帯ストラップフィギュアの方は、原型が完成し、シリコンゴム型の製作中。
11月7日(土)はほとんど携帯ストラップフィギュアに傾注し、レジンの型抜き、下地処理、一部塗装まで、明け方6時(いや、これ朝だって・・・)まで掛かって作業。
この日の夕方に材料買出しに神戸三宮の東急ハンズに行きました。
11月8日(日)泣いても笑っても今日一日で携帯ストラップフィギュアを完成させねばなりません。
おかげでライトフライト・バブルヘッドフィギュアはほとんど手付かず・・・ではなく、平行して時間のかかるシリコンゴム型作りだけは行う事にしました。
当然、原型が完成していなければ話にはならない訳で、少ないリソースの振り分けに追われました。
朝8時には起き出して、(睡眠時間1時間強。ほぼ完徹状態!)
ボーっとした意識のままで作業開始。
まず、携帯ストラップフィギュアの塗装。時間のかかる箇所の塗装を行っておき、塗装が乾くのを待つ間にバブルヘッドフィギュアの脚と、靴のフィッティングを行います。
これで原型もようやく完成。
普通ならば、詳細に各部の確認を行うのですが、今回は時間が無いのでパス。
後で、困らなければ良いのだけれど・・・
型枠を取り出し、油粘土を詰めます。
前作『Mr.×』では、この油粘土のせいでとんでもない目に合いました。
と言うのも、型枠を大きくしたせいで従来使用してきた油粘土では量が足らず、この際、粘土を新しいものにしようと思い、新しい油粘土を『東急ハンズ心斎橋店』で買い求めました。
ところが、昔『東急ハンズ三宮店』で買った油粘土が見当たらず、一袋500円もする高級な油粘土を新たに4袋買いました。
この油粘土、しなやかで作業性は非常に良く、原型にも良く馴染んでくれたのですが・・・。
いざ、シリコンゴム型が完成し油粘土を取り除こうとしたところ・・・
外れない・・・。
剥がしても、剥がしても、微妙に油粘土が原型にくっついてちぎれてなかなか取れません。
以前のものなら、油粘土を剥がすと、大まかに塊で取れて、小さく残ったもののみ掃除すればよかったのですが・・・。
いたるところにくっついて、くっついて、しぶとく原型を汚してくれたのでした。
結局、その時は油粘土の除去と掃除に半日以上を費やしてしまいました。
同じ『東急ハンズ』でも『三宮店』に行き探したのですが、残念ながら既に従来品と同じものはありません。
そこで見た目、従来のものに良く似た感じの油粘土を購入してきました。
今回はそうした前回の反省も含め、従来使用してきた油粘土に、昨日買ってきた油粘土を加えて原型をセットします。
原型は盛りだくさんの上、特に頭部のパーツのひとつひとつが大きく、型枠内一杯になりました。
一杯どころか入りきらないので、帽子のパーツの中に、手のパーツを入れたりして苦心惨憺。
時間と材料の余裕が許せば、型を二つに分けてもう少し余裕のあるシリコンゴム型にしたいところですが、結局、材料も時間も無し、一か八かの一発勝負です。
果たしてレジン抜きがうまく出来るのかどうか非常に心配です。
型取り
8日午前中に何とか油粘土上に原型を並べ、シリコンゴムを流し込みます。
その間に協力を申し出てくれた女房に携帯ストラップフィギュアの一部を色塗りをしてもらいました。
シリコンが硬化するのを待ちながら、午後は携帯ストラップフィギュアの塗装をして完成を目指します。
ただ、女房に塗ってもらった塗装なのですが、細かな意図が通じていなかった為、結構修正を必要としました。
返って時間が掛かったかも・・・。
協力してくれた彼女には心から感謝してるけど、ちょっと残念・・・。
午後6時にようやく全数の塗装完了。
その後、吊り環を着けるのに少々手間取りましたが、午後7時にはようやくそれも終わりました。
後は、ストラップに仕上げる作業。
これは女房の得意分野なので、お任せしました。
その間に、ライトフライト・バブルヘッドフィギュアのシリコンゴム型の油粘土を取り除きます。
午後8時。
携帯ストラップフィギュアが完成。
さっそく、上司に連絡をとり、デリバリー。
お礼にケーキを頂きました。
似ているかどうかは、ハッキリ言って全く自信ありません。
もう少し時間があれば、何とかなったかも知れないと、後悔しきり・・・。
家に帰って気を取り直し、ようやく製作に集中できる事になったバブルヘッドフィギュアの油粘土の掃除を仕上げ、固まったシリコンゴムをふき取り、裏返し、シリコンゴムを流し入れました。
時間の猶予はあと3日、作業時間は10時間あまり・・・。
果たして完成できるのか?
それにしても、どうしていつもいつもシゲちゃん向けの作品製作の際にこうもギリギリの状況に追い込まれるのかしらん?
11月9日(月)
仕事から帰宅後、早速シリコンゴム型を枠から外します。
ところが、埋め込んだ古いシリコンゴムの食い付きが悪く、そこからゴムが剥がれたり、型の一部が損傷しました。
何とかそれでも、レジンキャスティングは出来そうなので製作開始。
400gものレジンを入れたにも関わらず、型が埋まらなかったのにビックリ。
その後数度トライして、ようやく満足行くものが数個採れました。
しかし、一番難しい箇所のシリコンゴム型が壊れてしまい、それ以上の製作続行は不可能になりました。
複製出来たパーツをかき集めると、何とか3体分は確保。
原型の一部を改良する必要がありますし、シリコンゴム型は新たに作り直さなければならないので、今回は何とかこの3体分のパーツを使って完成させなければなりません。
製作開始
11月10日(火)
帰宅後、パーツの確認をし、組立開始。
まず、大きなパーツになる頭部、帽子をそれぞれ組み立てます。
頭部のスプリングを入れる穴にシリコンゴム型を作る際に出来た気泡のせいでレジンの塊が残っているので、リューターで除去。
それぞれのパーツのバリを取り、パーツに残った気泡をポリパテで埋めます。
3分割になっている頭部と帽子を瞬間接着剤で接着し、隙間をポリパテで埋めてゆきます。
そのポリパテが硬化する間に、次は、エンブレム、手、上半身、下半身、靴の仕上げを行います。
各パーツをリューターで仕上げ、サーフェーサーを吹き、傷の確認をして修正。
それが終わったら頭部と帽子に戻って、頭髪のモールドの消えた箇所の彫刻、帽子のはみ出したポリパテを取り除き、サンドペーパーでサンディングして仕上げてからサーフェーサー吹きして、終わったのが0時半。
やっとひとごこち。
次にデカールの下絵作り。
元々の写真では胸に航空会社によくあるタイプの翼のマークのワッペンが着いています。
しかし、グッズとして、NASA(ニュー・アサヒ・スカイ・エアライン)のマークが発表になったので、それをアレンジする事にしました。
本来は青、赤、白の3色ですが、金色の翼のワッペンみたくして、良く良く見なければNASAのマークと判らない様にすると言うあざとい作戦です。
ところが、CUEのHPでも詳細な写真が無く判りません。
そこで先日、東京公演に行った女房の友人に頼んでパンフレットの画像を送ってもらいました。
それを基に拡大して画像処理します。
でも今日はもう遅いのでほどほどにして途中までで辞めました。
11月11日(水)
出張の絡みで残されたのは今晩だけ。
いよいよ最終日。
果たして完成出来るのか?
徹夜覚悟で作業開始。
まずは、各パーツのジョイント部の穴開けです。
今回、バブルヘッドフィギュアなんてものに挑戦したので、いつものディスプレイフィギュアと違って、触られる事を前提に各部を補強しておく必要があります。
そこで、靴と下半身(脚)、上半身と下半身にはそれぞれφ4mmのアルミ棒を埋め込む事にしました。
これで少々どつかれても簡単にポッキリとは折れない筈です。
次に、一番重要な箇所になる首。
上半身の首に当たる部分に穴を開け、そこにφ16mmのアルミ棒を旋盤加工したものを差し込みます。
と、言うのも準備したばねが外形φ16mmもあり、頭部はそのまま穴に入れる様にしたのですが、首の部分は細い為、φ16mmもの穴を開ける訳には行かない為、ばねの中に加工したアルミ棒のパーツを差し込み、それを首の部分に入れる事にしました。
ところが、その加工に思いの外時間が掛かりました。
φ4mmのアルミ棒も、ペンチ程度では切る事が出来ず、旋盤で突っ切り加工。
さて、φ16mmのアルミ棒の加工に至っては旋盤での精密加工を必要としました。
しかも、僕の旋盤ではパワー不足で作業時間が掛かるかかる。
気が付くと23時前。
これでは埒があきません。
ようやく1個パーツが完成したので、とりあえずフィギュア1体のみ完成させる事にしました。
首に穴を開け、アルミ棒を加工したパーツを差し込み、仮組みしてみるといい感じです。
続いて塗装作業。
極力、エアブラシを掃除しないで済む様に、極力薄い色から塗り始めました。
まずは、顔、手を、Mr.カラーの肌色で塗ります。
次いで、靴と帽子の縁を半つや消しの黒で。
制服と制帽はインディブルーに半つや消しの黒を混ぜたもの。
髪の毛は先日作った携帯ストラップフィギュアのものを流用しました。
続いてタッチアップ。
顔はあまりにリアルだと変になるかなと思って、簡便に、タミヤアクリルカラーのフラットフレッシュで、ドライブラシっぽく塗りました。
すると、逆に生き生きした色合いになったのでビックリ。
こりゃいけると、手の甲もこの色でタッチアップしました。
帽子の金モールをタミヤエナメルカラーのゴールドを塗ると、すごい出来になりました。
本物の刺繍を加工したかいがありました。
いや、この帽子だけ欲しい・・・
帽子の完成
組み立ててゆくと期待以上の出来に仕上がりました。
各パーツの接着は今回ボンドGクリアーを使用しました。
普段なら瞬間接着剤を使うのですが、衝撃にはやや弱いのでその対策ですが、むしろ、ゼリー状瞬間接着剤の方が良かったかも・・・
靴はベースに穴を開け、裏からタッピングビスで留めました。
仕上げはデカールです。
もうすっかり夜半を過ぎています。
昨日作ったデータを基にして、修正します。
完成寸法を測ってみるとわずか7mm幅の小さなワッペンでしかありません。
果たしてこんなもの判ってくれるのか?
しばらく使っていなかったアルプスMD5000Pを立ち上げ、10回ほど試行錯誤を繰り返し、ようやくデカールが完成しました。
ベースもさびしかったので、タイトルのデカールを作って貼り付けました。
これで完成。
時間は3時半。明日の仕事の事を考えるともう寝なくてはならないけど、記念撮影。
ストロボの光り方が悪くてあんまりうまく撮れなかった・・・
やっぱりマクロ専用ストロボ買わなけりゃならないかな?
フィギュアの方は良い感じなのですが、うつむき加減になってしまいました。
写真に撮ると思ったほど似ていません。
残念だぁ〜〜
今更直せないよぅ〜〜。
それでも朝、女房に見せると良い感触。
今日、いよいよプレゼントとして持ち込みです。
ちょっと残念な結果になったプレゼント品
プレゼントとして送った日に出張に出発。
それからは毎日の様に PHOTO DIARYなどを確認しましたが、このフィギュアについては音沙汰なし。
まあ、そうそうファンの戯れ事にはお付き合い願えないでしょう。
何とか苦しみながら完成はしましたが、結局いろいろ不満の残る残念な結果でしたので、残りのパーツを掻き集め、改めて修正を加えた上で完成させる事にしました。
何が悔しかったと言っても、一番残念だったのは、顔が真正面から見ないと似ていなかった事。
いろいろ考えたのですが、ある時『おにぎりあたためますか』の放送を見ていて、シゲちゃんの顎の張りが気になって、もうすこしあごを張った様に作ればどうだろうと感じたので、修正してみました。
すると、効果てきめん、思った以上に似てきました。
既に、製作予定分は型抜きを終えてしまっているので、それぞれの残りパーツにパテ盛りして修正する事にしました。
今後作るかどうかは別として、念の為、原型も修正しておきました。
やっぱりあごを張り気味にして大きくしたほうが似ている様です。
次は、うつむき加減であった点。
これは、スプリングを差し込むアルミのパーツの角度が悪かったので、製作時にアルミのパーツの取り付け具合の調整を慎重に行って対処します。
実際に完成状態の写真を見直してみるとフィギュアの立ち姿だけでさびしいし、舞台の世界観もイマイチ判らない。
せっかくなのでフィギュアの後ろに飛び上がる飛行機を入れようと思い立ちました。
そこでどんな形の飛行機だった?と女房に聞くと、どうやらパンフレットに載っている飛行機の絵とは異なる様です。
飛行機の形はどんなだった?
マーキングはどうだった?
妻「全体が真っ白でところどころNASAのマークが着いていて…」
娘「途中で宇宙船に変化するの!」
「はん!?」
「飛行機が?」
妻「そうそう!」
「どう言う事!?」
妻、娘「だってね〜。」
まあ、およそ女性の場合、飛行機の型式なんて興味ないし、色やマーキングについても興味ないだろうから仕方ないのかなと思っていたのですが、話を聞くとどうやら原因はそれだけではない様です。
とにかく飛行機が芝居の中でとんでもない事になるのだと…。
これは女房、娘ともに口を揃えて言っていたので間違いないでしょう。
舞台を見てないのでよく判らないのだけれど、なんでも登場する飛行機が変形するわ、ワープするわ、あげくUFOが出てくるわ。
何だか聞けば聞くほど、さっぱりわけが判らなくなって来ました。
う〜ん。
結局、製作を中断して、飛行機はDVD発売まで延期する事にしました。
いくらなんでも訳判らな過ぎ。
2月2日、DVD発売。
早速、女房が手に入れてきて、すっかりシゲちゃんの脚本のファンになった娘は、僕の帰宅前に一度見た様子。
くつろいで見ようと思うのに、女房と娘が盛り上がっていまいち判らない。
結局、数日かけて繰り返し見る事に…。
飛行機。
なるほど、大変な事になっています。
ただ、飛行機として登場する機体は判明。
どうやらボーイング737-400型。
これにNASAマークを貼っただけの様ですが、なんで、窓が無いの?
客席の窓は塗るのが、めんどうくさかっただけかもしれないけど、操縦席の窓も真っ白なんて…?
これ、どこのメーカーのキットに手を入れたんだろう?
とにかく、型式は判明したので、ネットで737-400型の資料を探し始めました。
すると、
ホワイトボディのB737-400のキット発見。
値段も約700円と手頃だったのでつい買っちゃいました。
「これを撮影に使ったのかな?」
と考えていたのですが、届いた模型を見ると少し違った様です。
翼の部分のみはグレーの成形色でした。
でも面白いので、翼部分のみ塗りなおした上で、これにデカールを作って貼り付けてみました。
完成した1/200のNASA旅客機
これには女房、娘大受けでした。
娘はすぐさま部屋に帰ってなにやらごそごそしていたかと思うと、プテラノドンのフィギュアを持ってきて、飛行機の隣へ。
おかげで家族で大爆笑。
「こんなのどこにあったんだ?」
よくよく見ると昔、海洋堂の出していた食玩のジュラシックパークVのおまけ。
確か何かのドリンクについていた様な…。
忘れてた。
でも、こんな発想良く出来たね。
ライトフライト劇中の再現!?
さて、資料を基に飛行機の製作です。
現在の旅客機は与圧ボディで、概ね単純な円筒型なので胴体の工作は比較的楽です。
丁度いい太さの材料が無かったので、フィギュアを作った際に出たレジンの角棒を加工して4本貼り合わせ、少し太めの角棒を作って、強引に旋盤で削ります。
機首と、尾部は大体の形を旋盤でテーパー加工した上で手作業で仕上げます。
主翼は1mmと0.5mmのプラ板を張り合わせ、厚み調整をしたものを切り出し、翼型に加工します。
尾翼は1mmプラ板を加工、
エンジンポッドはこの機体の特徴なのですが、少しおむすび型にしておく必要があります。
φ5mmのプラ棒を旋盤で加工して、慎重にエンジンポッドらしく削りだした後、少し手作業で加工して変形させました。
組み立ててみるとなかなかいい感じです。
失敗したのは縮尺。
長さ重視で作った為に、ノンスケールになってしまいました。
測ってみると1/455。
1/500にでもしとけば良かったと反省しきり。
でもまあ、そこそこ雰囲気は出ているし、満足しています。
次は飛行機を取り付ける土台ですが、この少々バカバカしい舞台の雰囲気を出すのに、リアルな発射煙を作る事もあるまいと、手抜きしました。
でも、これはこれで良いかなと自己満足。
ようやく完成したパーツですが、その後CDJ2010に合わせて、CDJ2008のフィギュアの完成を急ぐ為に製作中断の状態になってしまいました。
ボーイング737-400機の完成
完成した機体とスタンド代わりの発射煙
ようやく、再開しようと思ったのは、CDJ2010も熱狂の内に過ぎ、酷暑も過ぎ去った2010年秋。
パーツ群はひと通り処理を済ませていたのですが、長い間手を付けていなかったのでひとつひとつ確認しながら完成する事にしました。
結局、手元に残っている材料は3体分。
しかし、帽子のエンブレムがひとつどこかに行方不明になっていて、とりあえず2体完成させる事にしました。
基本的に塗装は以前完成させたものと変わらないのですが、肌色の調整方法は若干改良を加えました。
あごの修正を行ってより似てきた頭部
それと組立方法。
以前のものはクリアーボンドで完成させたのですが、このボンドやっぱり強度上の不安が残るので、靴や飛行機の接着はエポキシ接着剤に変更しました。
飛行機は小さな部品が多くて大変ですが、慎重にバリ取りをした上で塗装して組み立て。
自作デカールを貼り付けてようやく完成です。
飛行機だけでもいい出来で、女房に見せると携帯で写真を撮ってツイッターにUP。
親しい友人から反応があったと面白がっていました。
フィギュア用飛行機の製作
飛行機の完成
まあ、女房の友人達のCUEファン仲間で今度会合をするので、そこへサプライズの計画です。
フィギュア、飛行機ともに慎重に調整して組み立てて、ベースの上でフィギュアの立ち位置、飛行機の位置などを確認して取り付け位置を決定。
前回はデカール処理をしたのですが、イマイチだったので、パンフレットの題字を使ってタイトルのシールを作って貼り付け。
ようやく完成の運びとなりました。
ネームプレート
完成したライトフライト・バブルヘッド・フィギュア
飛行機を入れたおかげで以前のものに比べ舞台『ライトフライト』の世界観を少しは表現できたでしょうか?
あごのラインの修正で戸次さんに少しは似たかな…
僕の作品のファンでいてくれる女房と娘には大受け。
頭を小突くとカランカランと軽〜〜い音がします。
(これが妙に笑えます…。)
個人的には大変気に入っているのですが、果たして熱狂的なシゲファンの方々の反応はどうでしょうか?
(幸い、お渡しした友人には大好評だった様です。)
とにかく2年越しの製作となったこのフィギュア。
完成した今は大のお気に入りです。
勢いに乗って、いずれ、ナックス全員のバブルヘッドも作ってみたい。
(実は既に構想あり!)
かっこいい彼らも好いけど、バラエティにも全力投球な彼らもまた魅力的なので、熱心なファンの方はご容赦を…。
頭に触れると 揺れます!
ありえないとは思いますが…
「シゲさ〜〜〜〜ん。もし、このHP見たらフィギュア一度送り返してくださ〜〜〜い。
作り直してお送りしますので〜〜!」
注)これ等、フィギュアは個人的な趣味で製作したものです。
版権は当然ながらクリエイティブ・オフィス・キューに所属します。
ですから、双熊堂本舗、及び、クリエイティブ・オフィス・キューに問い合わせはしないでくださいね。
お願いします。