Mr.×

2009年10月20日完成
1/12 Scale
全高 15.8cm

CDJ2008 より
『Mr.×(Batsu)』

CDJ2008の1/12スケール・フィギュアの第2弾は、『Mr.×(Batsu)』と『チョビ髭Mory』の2体の予定でした。
ところが3月に『下荒井兄弟のスプリング・ハズ・カム』の本公演を観劇する事になり、プレゼント用に途中から『Mory』の作業を先行する事にしました。
その結果として『Mr.×』の完成が大幅に遅れてしまう事になりました。

『KILLER-Z』の製作では、初めての人物フィギュア模型という事で大苦戦でしたが、その過程で貴重なノウハウが得られました。
特に、Poserで人体モデルを作成して、DXFデータに変換し、MODELAで切削する方法を試した結果、大幅な省力化が可能になりました。
切削したモデルに少々問題があったとしても、バランスを見ながら修正を加えていくので、比率の正確な原型があると省力化につながるのです。
Poserの場合、Poserのソフト専用のフィギュアもあれば、DAZ3Dのフィギュアも流用出来、それらを基に更に多くのフィギュアがサードパーティから供給、発売されているので非常に助かります。
Poser純正のフィギュアはどうにも出来が悪くて使えないのですが、DAZ3D製のフィギュアはボディの変形、改造が簡単で大いに活用可能なのが素晴らしいところです。
また、その他の3Dソフトで作られた小物類も流通していて、衣服も作り込んだモデルが利用できるのが強みでしょう。
著作権の問題が生じる恐れはありますが、僕の場合、あくまで原型作成が目的であり、またフィギュアについては全て自分なりの手を加えています。
手に入れたデータを直接使用する事はないので、問題はないと考えています。
何故かと言うと、苦労して手に入れたPoserデータですが、案に相違してその後の製作で手直しが必要な事がほとんどなのです。
しかしそれでも、モデルの骨格の決定や、各部のパーツを作る手間が省けるので、今後も大いに活用したいと思っています。

さて『Mr.×』は『KILLER-Z』完成の直後から製作に掛かりました。
我が女房は大の鈴井貴之ファン。
俗に言う子虎です。

娘も母親の影響か子虎2号です。
どうバカだけど、子猫(大泉ファン)ではないのです。
その理由は、
「大泉さんは嘘つきだから・・・・。」
なのだとか。
(彼はその場を面白くする為に一所懸命嘘ついているんだけどねぇ。・・・)

とにかく、ここはひと踏ん張りして、良いものを作ってやろうと決意。
特に今回は衣服を着けたモデルの製作と、顔のモデルデータ化が出来るかどうかが、成否を握ると考えていました。

現実の『Mr.×』は如何にもミスターが大好きなタイプの典型的な悪役なのですが、モーニングに身を包み、少々大きすぎるシルクハットをかぶって、衣装に着られている様な感じ。
ただ今回はいつもよりはいくらか服装がすっきりしているので、少しはかっこよさも演出している様です。

そんな『Mr.×』ですから、俄然こちらも力が入ります。

モーニングのデータは探したものの見つからず、結局タキシードで代用しました。
ネット上でPoser用の衣装を調べたところ、DAZ3DのMicheal4用のものがある事が判りました。
早速購入して着せようとしたのですが、何故かうまく行きません。
フィギュアにタキシードを着せる事は出来ても、DXFデータに変換できないのです。
結果的には、『部屋クリーン』の項にも書きましたが、Poser7J+SP3のバグのせいでした。

どうしても変換できないので、このタキシードのデータそのものが悪いのかと思い、おなじDAZ3DのDavid用のタキシードを見つけて購入し、データ作りを試みましたが、やはり同様の問題発生。
結局、バグ問題と判明し、最終的にMichael4をベースに製作する事になりました。

ただ、ボディに衣装を着せると破綻を起こす箇所があるので、やむなくそれぞれにポーズデータを作っての出力でしたが・・・・。

MODELAで切削してみると、予想外に良い感じです。
ただ、肩口と袖先はどうにもこうにもへんちくりんでバランスが悪く、大幅な修正が必要な様です。

さて今回は、MODELAでの切削方法を『KILLER-Z』とは大幅に変更しました。
前回は、ZACODA.COMで提唱していた両面切削法を真似て『KILLER-Z』のPoserデータ(と言っても、単なるポーズを着けたヌードモデルでしたが・・・・)を丁寧に上下分割し、レジンブロックからまず下側になるデータを切削して、そこにレジンを流し込み、今度は上側のデータを切削してボディを掘り出していました。
しかし、この方法の場合、厚みがあるとそれだけ深く掘る必要が生じ、切削時間が掛かってしまいます。

3軸式の為、しばしば両面切削の方法が議論の対象となるMODELAですが、今回は出来上がったPoserのDXFデータに言わば架空の仕切りを作って、そのコピーを仕切りから反転させてそれぞれの上側のみを切削する方法を採りました。

元々上側からの切削しか出来ないMODELAなので、一旦、レジンブロックの入れ物状のベースを作って、そこにレジンを流し込み、今度はDXFデータを上下2分割したもの切削する訳です。
Poserで作ったデータをいちいち上下に分解してデータを作る訳では無いので、データの修正に手間も掛かりませんし、その仕切りをベースとして使用するので、簡単にCAMデータも製作できました。

手の様に、小さく複雑な箇所への適用は難しいでしょうが、頭、ボディ、腕、脚にはこれで充分だと確信が持てました。
上下2分割して切削したモデルを、分割面で貼り合わせるだけなので本当に楽です。

面積は広くなるものの、作業の半分は単純な形状のベースの切削であり、径の大きなエンドミルで作業できる為、切削時間も短縮できます。
また、切削する深さが以前の方法の約半分になり、エンドミルのシャンク長さを配慮する必要もなくなりました。

『Mr.×』のモーニングコート。
この燕尾部分は基データが単なるシート状の厚みの無いポリゴンデータの為、上側から切削しておいてその後内側を削りました。
その為、結構なボリュームのレジンブロックの内側を削り取る羽目になりました。
手作業で彫刻刀を使って削ればよかったのですが、正月帰省先の実家ゆえ、道具が無くリューターを使ったところ、大量のレジンかすが発生したのには閉口しました。
ただレジンかすが出るだけなら良いのですが、とにかく静電気であっちこっちにくっついて離れてくれません。
その掃除に苦労しました。
そして、削り出したモーニングに、ズボンを差し込み、少しずつ削ったり、パテを盛って、フィッティング。
基データはダブルボタンのタキシードですが、『Mr.×』のモーニングはシングルボタンで雰囲気も異なります。
いろいろやっているうちに、結局パテまみれになってしまいました。

製作中のCDJ2008のキャラクターフィギュア達

今回は、幸いにも衣装を着けているので、大半は衣装の切削に終始しましたが、やはり、肝心なのは、顔と手になります。
顔は、『部屋クリーン』にも書きましたが、DAZ Michael4の顔にMorphを組み込んで、ミスターの顔データを作りました。
似ているかどうかの判断は皆さんにゆだねる事として、倍率や、表情には気を遣いました。

シルクハットもPoser関連のデータの流用ですが、そのものずばりのものは無く全て手直しが必要でした。
探して行くうちに、杖のデータもゲット。
更に、サルの着ぐるみの頭(『タカユキ』にそのまま使えそうには無いけど…)まで見つかったのには少々ビックリしました。
CGの世界もいろいろこだわってがんばっている人がいるんですねぇ。


春先からCDJ2008の他のキャラクターフィギュアの製作に追われ、その後、『部屋クリーン』携帯ストラップの製作など、寄り道ばかりで遅々として進みませんでした。
ところが、2009年9月9日を『CUE(9)の日』と題して、クリエイティブ・オフィスCUEが全国でイベントを行う事が決まりました。
とりあえず、大阪に集まる子残念さんたちに、『部屋クリーン』携帯ストラップをプレゼントする計画を進めたのですが、何とか9月中(つまりCUEの月中)に『Mr.×』完成して送りたいと思い始め、完成を急ぐ事にしました。
既にパーツの切削は終了。
各部のディテールアップを図るだけなので何とか完成するつもりだったのですが、意外に残作業が多い事が判りました。
原型だけは何とか9月中に完成できるとしても完成品はそれよりも遅れそう・・・。
でも、鈴井さんをビックリさせたいし、女房も楽しませたい。
製作を続行し、とにかく完成させる事にしました。

  

モーニングの製作

各パーツの内、残作業が多かったのが衣装のモーニングでした。
調べれば調べるほど判らない事だらけ。

最初、衣装はタキシードだとばっかり思っていたのも間違いで、モーニングコートが正解でした。
『Mory』の軍服と異なり、モーニングの場合、キリッとした印象にしたくて縫い目を入れる予定ですが、その縫い目が判らず苦労しました。
何とかネットで仮縫い中のモーニングコートの写真を見つけ、詳細に確認したところ、『Mr.×』の着るモーニングと同じ箇所に縫い目を確認できたので、それを基に縫い目をモールドしました。
次にシャツ。
ボタン周りに縦にヒダの付いたシャツなのですが、これの再現にも苦労しました。
彫刻したのですが、少々オーバースケールの様なので、マスキングテープを細切りし、それを貼り付けてモールドしました。

    

モーニングの完成

そして、蝶ネクタイ。
これはマスキングテープをつまんでそれらしく皺をつけ、サーフェーサーを吹き付けて少し厚みを付けました。

蝶ネクタイのアップ

こうして、原型は完成。
次に複製を取って、レジンにて型取りです。

今回、シリコン型も作り直す事にして、『KILLER-Z』、『チョビ髭MORY』と3体分をひとつの型に入れました。
ただ、油粘土を新しいものにしたのですが、原型にくっついてしまって、少し不満の残るシリコン型になってしまいました。

  

シリコンゴム型の作成、レジンにて複製

結局、10月に入っても仕事も、他のフィギュアの製作も忙しく、ようやく手をつけられたのは10月半ばでした。

各レジンパーツを洗剤で洗った上で、サーフェーサー吹きし、いよいよ塗装です。

モーニングはアメリカ空軍の迷彩色のグレーFS36270としたのですが、もう少しブルーがかった色かもしれません。

  

塗装中

今回、特に難しかったのは肌色の表現でした。

いままでも、決して良かったとは思わなかったのですが、今回塗装を終了して女房に見せると、「少し赤過ぎない?」と言われました。
従来と塗装を変更し、基本的に肌色を下地に塗った上で、トーンを上げて、赤、橙色、黄色等を塗り重ねたのですが、少々やり過ぎた様です。

言われてやむなく上からタミヤカラーのフラットフレッシュを塗って見たら・・・
ビックリするほどリアルな色に変身しました。

目元、口元を仕上げ、ヒゲ、眉毛を書き入れると・・・
そこには紛れも無く『Mr.×』がいました。

ビデオ撮りの時のメイクも試しに行って見たのですが、このサイズのフィギュアではかえってうそ臭くなる事が判明して中止しました。
やはり『チョビ髭MORY』も再製作の際には塗り直すべきだと反省した次第。
(いずれ、原型が勢ぞろいしたら全て再製作する予定なのです。)

各パーツの塗装が終了し、組み立て完了しました。

透明プラ板をφ4mmのポンチで打ち抜いた物の形を整形し、モノクル(片眼鏡)として接着し、吊り鎖は刺繍用の銀糸をほぐしてそれらしく接着しました。
最後にワイヤレスマイクを頭部に取り付けて完成。

それにしても、この存在感・・・

いかにも悪役といった表情の『Mr.×』がついに完成できました。


あと残りは、そう、あのお方だけです。
待ってろ!
総帥!!

(年内に完成できるかなぁ!?)

パッケージと

  

悪役大好きな鈴井貴之氏演じる『Mr.×』

  

顔のアップ

今回はお送りする分と女房の分をあわせ2体製作しました。




注)これ等、フィギュアは個人的な趣味で製作したものです。

版権は当然ながらクリエイティブ・オフィス・キューに所属します。

ですから、双熊堂本舗、及び、クリエイティブ・オフィス・キューに問い合わせはしないでくださいね。

お願いします。


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